君の名を呼んで

テレビに映画、舞台、CM、紙面……今後の彼女の活動を頭の中でリストアップしながら、そのどれもが楽しみで。

「すず、何が一番やりたい?」

「ーー何でもやるよ。でもお芝居がしたいかな」

彼女はある映画のオファーが来ていたにも関わらず、受験の為に大きな役を逃してしまったことを、ひどく気にしていた。
女優として伸び盛りではあったけれど、大学へ進学することは彼女も彼女の親御さんも望んでいたことだから、仕方ないのだけれど。


車に乗り込んだなら、
不意にすずは真面目な顔をして言う。


「ねぇ雪姫ちゃん。アタシ頑張るから」

「……?うん!」


その時はすずの焦りも、上へ昇ろうとする思いも、私は理解してるつもりだった。
一緒に歩いていくつもりでいた。

けれど私は甘かったんだと、その後認識させられることになる――。