「会議室でやんないで下さい。仕事しに来たのに、迷惑です」

彼のはだけた服を見ないように目を伏せて、中に入って足早に資料棚へ向かう。
手早く二ノ宮朔の資料を探して腕に抱え込んだ。

売れっ子のファイルは、こなしてきた仕事の分だけ重いけど、そんなの今はどうでもいい。

こんなとこに居たくない。
副社長が、他の女とシテたとこなんて。


なのに彼は、服を直しもせずに、首を傾けて私を見た。

「途中だったから不完全燃焼だなー。
雪姫、やらねぇ?」


!!?
この人、
この人、

「最っ低!!!」

私は怒りに任せて吐き捨てる。

なんてことを。
人の気も知らないで!


「なんだよ、冗談じゃん。冷たいな、雪姫は」

「私の名前、呼ばないで下さい」

自分で意識したより、冷たい声が漏れた。

「何怒ってんの、雪姫」

「呼ばないでよ!!」


あ、ダメだ。涙出そう。


私はそこから飛び出した。