「梶原ちゃんさー、城ノ内に落とされた?」


次の日。
いきなりの社長のぶっとび発言に、私は危うくコーヒーを吹き出しそうになった。

「え、な、はあ!?」

「だってアイツすっごく機嫌良いんだもん。気持ち悪い」

なんて言われよう。
そりゃあ落とされましたとも!
朝まで寝かせてもらえなくて、私は寝不足まっしぐらですとも!!

気を抜くと思い出して、わあああっ!となりそうな自分を無理やり現実に戻しつつ。

「あ、あの~。そもそもどうして副社長は、私なんかを気に入ってくれたんでしょう?」

ちょっと気になって聞いてみたなら、社長がイタズラっぽく笑う。

「梶原ちゃん、うちの会社の正式名称知ってる?」

「え?」


BNP……。

「ブランシュネージュ・プロダクション」

社名?

社長がクスリと笑った。

「“ブランシュネージュ”って、フランス語で“白雪姫”のこと」

“梶原雪姫”
私の名前を聞いて、朔が「なるほど」と言ったのは……。


「“雪姫”が白雪姫を連想させたってことかな。
履歴書見て一目で『コイツはここに入る運命だな』って」

な、なんなのそれ……。

「でも城ノ内、最初は梶原ちゃんを女優かアイドル志望かだと思ってたみたいだよ。俺もそうだけど。面接したらマネージャーやりたいっていうからビックリしちゃった」

はは、と苦笑いで返して。
話の続きを聞く。