君の名を呼んで


次の日、いつもより早く出社した私。
社長からはしばらくオフィスワークを命じられている。
事実上は謹慎、てことなんだろう。

「仕方ないよね」

クビにならなかっただけマシってもんだわ。
一人ごちてペンを取り出せば、勢いよく指から滑り落ちてデスク下に落ちた。

「うぅ、どこまでもついてないな、私……」

ペンを拾おうと屈んだ時。


「何であんな風に問い詰めたんだ」


始業一時間前、誰も居ないはずだったのにその声は大きく響いて。
社長と副社長がオフィスに入ってきた。

心の準備ができてなかった私は、一瞬彼らの姿を目にして、つい上げかけていた頭をひっこめてしまう。

ええっ、あの二人っていつももっと遅いよね。
も、もしかして私の騒動の後始末とかだろうか。
気まずくて出られない。


「あれじゃ梶原ちゃんが可哀想だろう」


……私のこと?