君の名を呼んで

「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。失礼します……っ」

周りにも深々と頭を下げて、オフィスを出た。


……一番自分が信じられないのは、
仕事のミスじゃなくて、城ノ内副社長の態度が私を絶望させてるってことだ。

私に傷つく権利も資格も無いのに。

なんて……浅ましいんだろう。

どんどん沈んでゆく思考を止めなきゃって思うのに、どうしようもない。

震える指でなんとか支度を終えて、オフィスを出てエレベーターに乗り込む。


「……っ!」


扉が閉まった瞬間。


私は涙を抑えきれずに、声を殺して泣いていた。