君の名を呼んで

誰が見ても、素敵過ぎる笑顔のまま、彼は自分の妻を抱き寄せるようにその顔を覗き込んだ。

「ねえ、遥?アクセサリー贈るのって独占欲の証って言うけど、本音はネックレスよりホンモノの首輪つけたいくらい。これで我慢するから、買ってもいい?」

「も、もう好きにしてってば……」

……冴木先生、真っ赤になってる彼女を面白がるように、なんだかドSな台詞を吐いてます。
見た目王子様系なのに。間違いなく、皇の同類だわ、この人。
なんだかもう奥さん涙目になってるけど、いいの?


「あいつも相当タチ悪いな」


皇もしっかりと夫婦の会話を聞いていたらしく、呆れ顔で先生を眺めながらも、私の左手をとる。

私がいくつか目を留めた指輪を、皇はちゃんと見ていたようで。
私好みのデザインの綺麗なものを選び出していた。


「アクセサリーは独占欲の証、か」


なんだかいつもとは違う、真剣な声音でそう言って。
彼は私の薬指に指輪をはめた。


「そうかもな」


ふ、と微笑んだその顔に。

左手に光る指輪に。


なんだかすごく、ドキドキしたーー。