二人きりになると、皇は私を引き寄せて、その腕の中に閉じ込める。
安堵したように吐かれた息に、本気で心配してくれていたのだと知って、ちょっとくすぐったかった。


「全く、お前は本当に無茶なことばっかするな。俺は、お前だけ居ればいい、お前しか要らないって言っただろ」


穏やかな声は私を責めるものではなくて、ましてや苦しげな色もなくて。
私を見つめて話す彼を見上げて、微笑みを返した。


「あなたはもっと欲張りな人ですよ。私だけで良いなんて、嘘」


皇だって、苦しんでた。でも、諦めてなかった。
帝さんとの距離は、警戒していても拒否するものではなかったもの。


この先、帝さんと皇の間がどうなるかなんて分からないけれど。

きっと次に会う時も、一緒に笑いあえる関係になれるんじゃないかな。
私はそう、信じたい。


「きっと大丈夫、皇」


私の思いが皇に伝わったのか、彼は私に頷いて、優しく唇を重ねた。