「雪姫ちゃんのためならモデルに戻る?なら余計に君は邪魔だよね。本当に可愛くて、可愛くて……目障り」
彼が私に手を伸ばした。
この間を思い出して、身構える。
「どうしたら、壊れてくれるのかなあ。今までの皇の女は、みーんな簡単に俺に堕ちてくれたのに。めちゃくちゃにした女だって結局俺を選んだのに。君は強情だよねえ」
「そっ、それが取り柄なんですっ!!」
ヤバげな雲行きに、さすがに私も大声を上げるべきか迷ってーー
そのとき、スタッフルームの扉が開いた。
「雪姫」
皇が息を切らせて飛び込んでくる。
「皇?なんで」
「今日の監督が帝だって真野に聞いて、来てみたらこのざまだ。この馬鹿、心配させるな。俺と似てるからってほいほいついて行ってんじゃねえ。後でお仕置きだな、たっぷりと」
台詞には多少疑問を感じていたものの、心底心配してくれていた瞳に、嬉しさを感じて。
けれど私はもう一度帝さんを見た。
「……帝さんは、皇を“コウ”から守ろうとしてるんじゃないですか?」
皇が驚いたように、私を見て、それから帝さんを見た。
「私は、そう思います」
今の帝さんを見れば、モデルの仕事に未練なんて感じない。
未練が無いなら、その世界に戻ろうとする弟への嫉妬も無いんじゃないかって、思う。
皇をモデルに復帰させたくないのは、“コウ”として苦しむ彼を見たくないからっていう、兄心ではないの?
嫌っているからモデルを辞めさせたんじゃなく、想っているから辞めさせたんじゃないの?
直感、だけど。
私にはやっぱり、帝さんが皇を憎んでいるようには見えないの。
感じるのは、皇と同じ。
『罪悪感』ーー。
彼が私に手を伸ばした。
この間を思い出して、身構える。
「どうしたら、壊れてくれるのかなあ。今までの皇の女は、みーんな簡単に俺に堕ちてくれたのに。めちゃくちゃにした女だって結局俺を選んだのに。君は強情だよねえ」
「そっ、それが取り柄なんですっ!!」
ヤバげな雲行きに、さすがに私も大声を上げるべきか迷ってーー
そのとき、スタッフルームの扉が開いた。
「雪姫」
皇が息を切らせて飛び込んでくる。
「皇?なんで」
「今日の監督が帝だって真野に聞いて、来てみたらこのざまだ。この馬鹿、心配させるな。俺と似てるからってほいほいついて行ってんじゃねえ。後でお仕置きだな、たっぷりと」
台詞には多少疑問を感じていたものの、心底心配してくれていた瞳に、嬉しさを感じて。
けれど私はもう一度帝さんを見た。
「……帝さんは、皇を“コウ”から守ろうとしてるんじゃないですか?」
皇が驚いたように、私を見て、それから帝さんを見た。
「私は、そう思います」
今の帝さんを見れば、モデルの仕事に未練なんて感じない。
未練が無いなら、その世界に戻ろうとする弟への嫉妬も無いんじゃないかって、思う。
皇をモデルに復帰させたくないのは、“コウ”として苦しむ彼を見たくないからっていう、兄心ではないの?
嫌っているからモデルを辞めさせたんじゃなく、想っているから辞めさせたんじゃないの?
直感、だけど。
私にはやっぱり、帝さんが皇を憎んでいるようには見えないの。
感じるのは、皇と同じ。
『罪悪感』ーー。

