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すずと一緒に会社に戻った私は、受付で、明るく響く声に目を見張った。

「え~本当に皆美人さんだよね。羨ましいな、こんなとこで働ける男共はさ」

「やだあ、もう」

「上手い事ばっかり~」

あの声に、あのキャラ。なんだかとっても最近見かけた人がいる。


「何してるんですか、帝さん」

声を掛ければ、彼は満面の笑みで振り返った。


「あっ雪姫ちゃん!良いとこで会った。やっぱり運命だね、さあご飯食べに行こう」

そのまま私の肩を抱いて連れ去ろうとする彼の前に、すずが立ち塞がる。


「ダレ、コレ、ナニ?」

厳重警戒態勢に突入したすずは、私に抱きつくように帝さんから私をガードする。

「あたしの雪姫ちゃんに触んないで。あの鬼畜男と同じニオイがする」


……さすがすず。すごい嗅覚。
だんだん女優からかけ離れていってるような気もするけど。


「すず、大丈夫よ。城ノ内副社長のお兄さんなの」

安心させるように言った言葉は逆効果だったらしく、ますますすずが彼を睨む。


「はは、可愛い~!毛を逆立てた猫みてぇ」

帝さんは全く動じることなく、すずの視線を躱す。
仕方ない、と私は彼に問いかけた。


「何しに来たんですか、帝さん。城ノ内副社長なら今日は外ですよ」

皇に会いに来たのかと思えば。


「あ?違う違う。雪姫ちゃんに会いに来たんだよ」