舞華さんの言葉は信じ難いけれど、彼女の目は信用しなきゃいけない気がした。
私が黙ったのを見て、舞華さんは眉を上げる。

「……何」

「舞華さん、私のこと心配してくれるんですね」


ちょっとしみじみ言えば、彼女は真っ赤になって狼狽えた。

「あなたに何かあったら、皇が苦しむからよ!」

「はい、分かってます。舞華さんが本当は優しいってことも」

皇の為だと言いながら、けれど彼女は私の話をちゃんと聞いてくれたんだもの。
彼女は「はっ、恥ずかしい人ね!!」と照れているのか顔を背けて。

けれどもう一度私に、

「良いわね、帝には気をつけるのよ!」


そう言って、セットに入って行った。


ふふ、なんだか嬉しいな。
舞華さんは随分私にくだけてきた気がする。


「にしても……」


一人残された私は舞華さんの言葉を反芻する。


『帝は皇を嫌ってる。
ううん、憎んでるのかも』


どういうことなんだろう……。