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30分後、涙目で膨れる私と。
メチャクチャ不機嫌な皇と。
乱入した、お客様。

三人が妙な沈黙のまま、リビングに首を揃えていた。


「いやあゴメンね?また皇のいつものお遊びかと思って~。混ぜて貰おうかなと」

「……」

普段何やってるんだ、この人たちは。


睨みつけた私の視線を躱すように、皇が口を開く。

「人聞き悪いこと言うな。この部屋に雪姫以外の女を入れたことなんてない」


……そうなんだ。

私はビックリしながらも、ちょっと嬉しくて、イヤイヤ、誤魔化されるもんかとまた皇を睨みつけた。

そんなことより。
さっきからこの乱入者にガン見されてるんですけど!

「っ、あの?」

聞こうとした私の両肩を、ガシッとつかむ彼。
そのままガクガク揺さぶられる。

「あっ!あー!君、あれだ、皇の白雪姫!」

なんちゅう恥ずかしいネーミング。
けど、多分間違ってないから、私は渋々頷いた。


「あーそー、どーりでねぇ!いつものお色気系じゃねぇと思ったら、あの白雪姫か!」

ううう、色気なくて悪かったですね!

「触んな、馬鹿」

皇が、彼の手を蹴って私の肩から外す。
つ、ついていけない。

「で、すみませんが、こちらはどなた……」

おずおずと私が聞けば、皇がクシャクシャと髪をかきあげて、苛立たし気に彼を見た。


「城ノ内帝(みかど)。俺と皇紀の兄」

「はあ!?」


唖然とする私に、お客様はニッコリ。


「みっくんて呼んでね?」


……居たんですか、お兄様。