「本気で欲しい女相手に、手加減できるか。
口説いて口説いて、口説き落としてやる。

覚悟しとけ」


馬鹿。
もうとっくに、落ちてます。

私は頷いて、キスを返した。
優しかったそれは、だんだん熱を帯びてきて。
また涙が零れる。


いつの間にか、皇の手は私の頬から離れて、指先が首筋を辿って降りた。
焦らすような動きに彼を見上げれば、瞳に同じ熱を見つけて。

「……あと、15分ですよ」

「飛ばせば10分か」

顔を見合わせて、クスリと笑う。


「よし、帰るぞ。流石にこんなところでアレコレ出来ないからな」

「ア、アレコレって何ですか!」

いつものニヤリと不敵な微笑みを向ける皇に、真っ赤になった顔を隠して言う。
彼にはどうせ、見抜かれてるけど。


「10分後にはわかる」


ああ、もう、私の心臓もちません。


「……安全運転でお願いします」