「いいい、言いました、聞きました」


どうしよう。
なんだかすっごく、甘い。

普段の城ノ内副社長とのギャップがありすぎて、どうしていいかわからない。


私の動揺なんて構わずに、皇が車を走らせた。
その言動とは裏腹に、彼の運転は丁寧で、彼がたまに見せる繊細さが窺い知れる。


どうしよう。

なんだか一秒一秒、どんどん好きになってる気がする。
あまりに幸せだと、逆に不安になるって聞くけど、なんだかそんな感じ。


「本当に、私でいいんですか」


ついこぼれてしまった言葉。


「白鷺雪姫だった頃の私じゃないし、意地っ張りだし、態度悪いし、色気も無いし、美人でもないし。演技もド下手くそなのに、ロクにマネージャー業もこなせないし」


こんなこと言うこと自体、弱音だってわかってる。
可愛くないって。


「ただ、」


だけど、皇。


「あなたを愛してます」


私が胸を張って言える言葉は、
これだけだから。