君の名を呼んで

上手く笑えなくて、泣き笑いみたいになった私に。
皇はゆっくりキスをして、

「ホンモノは、後でっつったろ?空けとけよ、ココ」

私の左手、薬指に指を絡ませた。



「一生俺のモノでいろ。
なんたってお前は、俺のブランシュネージュなんだからな」



ああ、もう。
あなた私を殺す気ですか?



「あなたいつもわからなさ過ぎなんですよ~!」

「お前が鈍感だからだろ」

「こういう時だけ気障なこと言うし!」

「日頃から言ってたらキモいだろ。白鳥じゃあるまいし」

「人の父親キモいとか言いますか~?」


ボロボロ流れる涙は、もう隠すことなんて出来なくて。


「答えは一択。イエスのみだ」


夢中で頷いて。
私は、皇に抱き締められた。



そうやって私を翻弄し続ける皇。


私も秘密の多さでは負けてないけど。
それでもあなたは、いつだって私を信じてくれる。

愛おしい気持ちを伝えるなら、あなたの名前を呼んで。


「ずっとあなたのものでいます、皇」


愛してるなんて言わないし、
好きだって滅多に言わないし、
いつだってあなたの思惑通りだけど。

なあんて、言ったら


「お前がソレ言うか。散々振り回されてるのは俺の方だぞ」

って皇は苦笑したけれど。


「絶対、ぜ~ったい、そんなことありませんっ!」