週末に皇の部屋にお泊まりするのもだいぶ慣れて。
今日新城さんに言われたことを彼に話した。

「新城さんにどつかれました。皇、モテますね」

「男にモテても寒気がするだけだ」

彼はきっぱり言い放つ。眉をしかめて私を見た。

「それにあいつ、お前のことも狙ってるぞ」

「は?新城さんてゲイですよね。恋愛対象は男性でしょ?」

私はきょとんと聞き返す。

オカマで、ゲイで、イケメンで、腕は超一流、ってのが彼のウリだったはず。

「あいつバイだろ。両方イケるタイプ。お前見る目がやらしーんだよ。それから、あいつとか、あいつとか」

皇はブツブツと苛立たしげに言う。
それにしても、あいつとかあいつって誰よ?

私の困惑をよそに、皇が頬杖をついて私を見る。


「エアリエルのショーに出てから、やたらお前のことを聞かれてウザい。現場でもやたら口説かれてるそうじゃねぇか」

「な、何でそれを」

はっ、すずか!どんだけ優秀な情報屋なの?

「ムカつく。
雪姫、もう一回辞表を出せ。今なら受け取ってやる」

はあ!?
なんでそうなるの?


「俳優やら、アイドルやら、スタッフやらに口説かれまくって、気が気じゃねぇんだよこっちは。専業主婦にでもなっとけ」


「!?」

どっくん、と跳ねた心臓。

横暴そのものの台詞だけど、今なんか、凄いことを言われたような。