きらきらと降り注ぐ、光の中を。
桜里に手を引かれてゆっくりと歩く。
真っ白なウェディングドレスを身に纏って。


エアリエル最後のエピソードは“恋人達”

朔とすずが演じた恋物語。

二人はお互いを想い合っているのにすれ違いを繰り返す。
彼女は他の人を選ぶことすら考える。

けれど結局、二人は離れることなんて出来なくて。

そして、やっと、このステージで気持ちを確かめ合う。


視線の先には黒いタキシード姿のすらりとした男性。
セットされた髪も、まっすぐに伸びた背中も、口の端に登る笑みも。
見とれる程に綺麗。


愛おしい、彼のその手が
私に向かって差し伸べられた。


「雪姫」


皇が、“コウ”が、ランウェイに立ってる。

その事実に、涙が滲む。


「まったく、ステージ乗っ取りなんてやってくれますね」

桜里が私をエスコートして、皇の目の前まで来た。

「アンタが覚悟を見せろと言ったからだろ」

皇はそう言って、挑むように桜里を見た。


「俺はもう二度とステージには立たない。きっかけは逃避でも、俺がそう選んだからだ。
だけどこれは、俺なりの雪姫への想いだ」

皇がそう言って、ふ、と微笑んだ。


「全部、お前のためだ。雪姫」


「……っ!」


私のために、ここに立ってくれた。

どんな覚悟で、どんな気持ちで?


“コウ”を乗り越えて。