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「なにその顔」
撮影を終えた朔が、私の顔を見て言った。
「どんな顔?」
「好きな奴に振られたみたいな顔」
……的確だわ。
ガックリ肩を落とした私に、朔が苦笑を浮かべた。
「なんだ、お前も好きなのかよ。城ノ内さんのこと」
「ふぇっ!?」
思わず奇声をあげて、周りにいたスタッフたちに怪訝な顔をされてしまう。
ううぅ。
「さ、朔、移動しよう」
彼らに挨拶をしてセットから出ると、朔ご所望のラッシュを観るために、撮影所の敷地内にある試写室へと向かって歩き出した。
朔の横顔を見上げながら話の続きをする。
「わ、私……見ててわかる?」
「うん、雪姫がなんで女優じゃないのか、よーくわかる」
演技がド下手ってことですか!
バレてる気恥ずかしさより“お前も”が引っかかった。
私の視線に朔が答えてくれる。
「だってモテるだろ、あの人」
だよね。
今更否定しても仕方ない、と私は朔の言葉を無言で肯定した。
彼が気が合うと言ってくれたからか、同じ歳だからか、この短時間で随分私達は打ち解けた気がする。
「ね、朔はなんで城ノ内副社長が名前で呼ばれるのを嫌がるのか、知ってる?」
朔は私よりずっと長くうちの会社に所属してるから、何か知ってるのかと聞いてみた。
「いや……でもあの人、昔は“コウ”って芸名で、モデルやってたんだぜ」
「え!?」
元モデルって本当だったんだ!
「で、六年前にいきなり辞めて社長とうちのプロダクションを立ち上げたんだよ」
し、知らなかった。
「朔詳しいね」
「俺は創設当時からのメンバーだから」
じゃあレナさんともモデル仲間だったのかな。
考え込む私は、いつの間にかこちらを見つめていた朔に気付かなかった。
「雪姫には手ごわ過ぎるんじゃない?俺にしとけば」
「へ?」
思わず見上げた先で、クスリと笑ってそう言う朔は、同じ歳と思えないほど色っぽい。
そしてーー。
そのまま彼は私の頬にキスをした。
「なにその顔」
撮影を終えた朔が、私の顔を見て言った。
「どんな顔?」
「好きな奴に振られたみたいな顔」
……的確だわ。
ガックリ肩を落とした私に、朔が苦笑を浮かべた。
「なんだ、お前も好きなのかよ。城ノ内さんのこと」
「ふぇっ!?」
思わず奇声をあげて、周りにいたスタッフたちに怪訝な顔をされてしまう。
ううぅ。
「さ、朔、移動しよう」
彼らに挨拶をしてセットから出ると、朔ご所望のラッシュを観るために、撮影所の敷地内にある試写室へと向かって歩き出した。
朔の横顔を見上げながら話の続きをする。
「わ、私……見ててわかる?」
「うん、雪姫がなんで女優じゃないのか、よーくわかる」
演技がド下手ってことですか!
バレてる気恥ずかしさより“お前も”が引っかかった。
私の視線に朔が答えてくれる。
「だってモテるだろ、あの人」
だよね。
今更否定しても仕方ない、と私は朔の言葉を無言で肯定した。
彼が気が合うと言ってくれたからか、同じ歳だからか、この短時間で随分私達は打ち解けた気がする。
「ね、朔はなんで城ノ内副社長が名前で呼ばれるのを嫌がるのか、知ってる?」
朔は私よりずっと長くうちの会社に所属してるから、何か知ってるのかと聞いてみた。
「いや……でもあの人、昔は“コウ”って芸名で、モデルやってたんだぜ」
「え!?」
元モデルって本当だったんだ!
「で、六年前にいきなり辞めて社長とうちのプロダクションを立ち上げたんだよ」
し、知らなかった。
「朔詳しいね」
「俺は創設当時からのメンバーだから」
じゃあレナさんともモデル仲間だったのかな。
考え込む私は、いつの間にかこちらを見つめていた朔に気付かなかった。
「雪姫には手ごわ過ぎるんじゃない?俺にしとけば」
「へ?」
思わず見上げた先で、クスリと笑ってそう言う朔は、同じ歳と思えないほど色っぽい。
そしてーー。
そのまま彼は私の頬にキスをした。

