嘘、アイドルのくせに。年下のくせに。

思考はメチャメチャで、けどこのままじゃ大変なことになるのはわかる。


皇……!


ただ、彼に助けを求めて伸ばした指は、あっけなく、蓮見君の手に絡めとられた。

私の首筋を這う、皇のものじゃない唇。
皇とは違う、手。

嫌だ……!


「ーーンーーッ!!」


抵抗しつづけても、蓮見君はやっぱり男性。力ではかなわない。
私の瞳に滲んだ涙に、彼はますます煽られたよう。


「可愛い、雪姫さん。あの副社長なんかにはもったいないよ。アイドルの俺の方が、何かとお得じゃない?なんでも思い通りになるんだから」

雪姫さんのこともね、と言外に言われているようで、私は否定しようと首を振る。

その目を、まともに合わせた瞬間。


……?


見間違いじゃない。
一瞬揺らいだ、彼の瞳。


蓮見君……?