実は私の『梶原』は親の離婚で変わった、母の旧姓で。

私の元々の名前は『白鷺雪姫(しらさぎゆき)』で。

つまり、
城ノ内副社長の初恋の女の子って


「わ、私ぃ……!?」


まさか、こんなことって。
唖然とする私を、彼は面白そうに眺めて言葉を続ける。


「言っとくがな。

俺がモデルを辞めても芸能界から離れなかったのは、いつかお前に会えるかもしれないと思ったからだぞ。とっとと引退しやがって。お前がうちの事務所に面接に来たときには、俺の日頃の行いがモノをいったと自分を褒め讃えたね」


……後半は激しく同意しかねますが!!
なんちゅー理屈だ。

とんでもない事実に、私は赤くなったり青くなったり。


「えぇえ~……?」


じゃあ最初から。
私が城ノ内副社長に出逢う前から、彼は私を好きだったってこと?

「まあ俺も健全な男子ですから?まあいろいろとつまみ食いはしたがな」

あなたはつまみ食いしすぎですよ。
むしろあれでメインディッシュじゃないわけ?
お腹いっぱい喰ってたじゃないの!!


「…それでもなんでか、お前のことはずっと忘れてなかったんだよな」


そんな言葉が、やわらかな微笑みと共に不意打ちで向けられて。