城ノ内副社長から打ち明けられたのは、まずこんなひとことだった。


「俺、初恋が遅かったんだよな」


その前に付き合ってた女はいたけど、とか言うあたりはやっぱり鬼畜だ。
この人はきっと生まれつき女たらしだったに違いない。

彼は懐かしむように、からかうように。
悪戯めいた光を浮かべて。


「小学生んとき、たまたま日曜の朝につけたテレビに出てた女の子に一目惚れ。
それから毎週テレビに釘付けだ。小学高学年にもなって、戦隊モノに、だぞ」


……ん?
あれ?


「エンドクレジットに出てた名前が『白鷺雪姫』。
まあいくら有能な俺様でも、当時十歳の少年には『鷺』なんて漢字はわからず、すっぽ抜けて『白雪姫』って記憶してしまったというわけだ」


……それって。


「妙に大人びた容姿をしてたし、まさか五歳も年下だとは知らなかったがな」


……それって。