時間はたっぷりあると言いはしたが、そう長くは残っていなかった。保健室の先生に言った言葉が強がりだったなんてことは充分に分かっていた。

「たかし、私、子供が欲しい!」

僕はその日、結婚してから久しぶりに実家に帰った。母に会うためだ。母にしか相談できないと思った。母は事もなげに言ってのけた。

「男だったらそれぐらいの夢かなえてあげなよ。」

僕はその夢はリスクが高すぎると知っていた。さらの母親の事を聞いているからだ。

「・・・でも母さん」

母さんは笑ってた。

「あんた、私がこれからなんて言うか、分かってるんじゃないの?」

そうなんだよ母さん、子供を作っても作らなくても、きっとさらの余命は半年も変わらないんだ。そんなことは母さんに相談する前からわかってたんだ。

「私に相談してくれてありがとうね。」

僕の方こそごめん。母さん。