暴力団関係者お断り!

「へっ?」

下げていた顔を上げて警察官を見ると。
眉間にシワの無い、厳つい顔とは無縁の少し困った顔をした人がいた。前の眉間にシワを寄せた人は誰だったんだ、というようなきれいな顔。思わず、見ほれてしまった。

「どうも。暴力団関係者じゃないよ」


男は言った。優しく、顔を緩めて。

なんで、暴力団関係者と思ったのか、本当に不思議なくらい。

「はっ!あ、あの、ほんとにすみません!!いや~、よく言われるんですよね。わたし、早とちりがほんとーに多くて。叔母にもよく叱られました」

「ほんとにね。でも、まぁ大丈夫だよ。これから治せばいいんだ。頑張って」

「はいっ!あ、で、今日は何のご用ですか?」

「そうそう、これをさ、店長に渡してもらえるかな?」

そう言って、鞄から取り出したのは、黒い包み。

もしや、爆弾?!

「あっの、受け取れません!」

「爆弾だと思った?」

「へっ?い、いえいえいえいえいえ!」

「思ったんだ。ははっ。おもしろっ」  

「あ、いや、はい。本当にすみません。でも、これ何ですか?」