「あー、いやー、なんだ?その、佐久間がよ。ここにいるって」

そう言いながら、峰沢さんは私達の前のベンチに座った。

私もそれに続き、ベンチに座る。

「佐久間さん?店長ですね」

「そう、そう、店長」

「……仕事中じゃないんですか?」

「俺?」

「はい」

「さっき終わったんだよ」

「そうなんですか…」

「……どっか、行くか?」

「連れて行って、くれるんですか?」

「おう。どこがいい?」

「海、がいいです」

「じゃ、行くか!」

「い、今からですか!?」

「おう」

「わ、わかりました。行きましょう!」

私はこの時、やっと笑ったと思う。