先輩は体を起こして、手を握り
真っ直ぐにあたしを見た
「俺はお前が何を言っても嫌わないから…思ってること言ってみ?」
「………」
「要、俺が信じられない?」
あたしは…先輩が、好き
お母さんとは違う
「き、昨日…」
「うん」
この人はちゃんとあたしを
受け止めてくれる
それに昨日自分自身に言ったはず
あたし達は恋愛してるって
「バイト中に買い出しに行って
先輩と翔子ちゃんを見かけました…、腕を組んでいるとこを。それを夜聞こうとしたら…」
「磯辺が来た?」
あたしは頷いた
「二人の会話を聞いて、あたしだけのけ者みたいに感じて…。
一緒に働いてるから仲良くなるのは仕方ないってわかってます。
でも…彼女はあたしなのに、
バイトの翔子ちゃんのが先輩と
多く会ってて…さみしかっ…
最後まで言い終わる前に
思いっきり抱きしめられた
先輩は声を震わせながら言った
「ごめん…」
