「あ、あのさ、俺、ずっと思ってたんだけど1年の時にも会ったこと、あるよね?」
 
突然、東雲さんがそう言った。

「1年…?」

1年…もしかして…あの時…


あの時、私は花の水やりをしていた。

大切な花を育てていた時、数人が花だんの上を歩き、花は潰れてしまった。

内心怒っていたけれど口には出せず、
下を向いて泣いていた。


「ねえ。花、踏んだけど?」

数人に向かって話しかけてる人がいた。

「別にいいだろうがよ」
「せっかく毎日水やりしてくれてるんだから、せめて謝るのが礼儀じゃない?」

「「あぁ、なんか悪いことしたな、ご、ごめん…」」
その人たちは私に向かって謝った。

「お、おい。いくぞ」

そう言って去っていった。

彼は私に近づいてきた。

「毎日水やりしてくれてありがとう。」
そう言って立ち去ってしまった。

あの声

あの姿

…もしかしてあの人は…

「もしかして…あの時の…?」


「覚えててくれた?嬉しいなあ。」






そうだったんだ…。


何故か

胸の奥が

焦げるように熱かった。