俺の名前は
東雲 流星 (しののめ りゅうせい)
バスケの推薦でこの高校に来た。

バスケしか好きなものがなくて
少しも楽しみがなく1年間がすぎていった。
まわりの友達には彼女がいる奴が多い。
けど、俺は彼女なんていらない。
ていうか
「好き」って気持ちが何か分からない。

だから初恋の記憶もない。



夜の6時前に部活を終え、

忘れものがあったので
教室に戻ると
1人の女子がいた。

彼女の前には十数冊のノートが積まれている。


もしかして、これを1人で…??

疲れているのか
彼女は寝てしまっている。

夕方のこの季節は
とても寒かった。

だから俺は自分のブレザーを
彼女に羽織らせた。

特に意味はないけれど。


彼女が目を覚ますと

それが誰であるかが
はっきりと分かった。

三枝蒼空…

同じクラスなのに
唯一、今まで1度も話したことのない女子だ。


いや…
1年の時
話したことがあった。


彼女は、その時と全く変わってないような気がした。