「い、いねぇよ。そもそも好きってなんだよ。意味わかんねぇ」

「好きっていうのはな、不思議なもんだ」

突然聞こえた声。

「先生っ。」

バスケ部の顧問だ。


「好きに理由なんていらねぇよ。ただそばにいたいとか、守ってやりたいとか、いつもそれは突然やってくるもんだ」

「好きなのかな…」

今の三枝に対する思いってもしかして…


「こ、恋…??」


「お、お前恋してるのか?」


「そんな訳ないよ(笑)俺がバスケ以外に好きになるものなんて考えられない」


「バスケだけ好きでも困るぞ。もっといろんなことを経験して学べっ」


先生の言う「好き」って何なんだろう。

それしか考えられなくなること?

目の前にある恋しかみえなくなること?



俺には、

それが、


分からなかった。