「課長のこと?まぁ確かに怖いわよね」

「そうじゃなくて…なんかこう付き合うこと自体が怖いというか」


付き合うなんて初めてなわけで、私にしたら未知の世界。
もちろん興味はあるけれど、先に何があるのか分からない不安の方が大きい。

だから一歩が踏み出せないのかもしれない。


「なるほどね…でもあの人なら私、千夏を任せられるかな」

「え?何で?」

「閻魔だとか言われてるけど、あの人仕事に対して凄く真面目なのよ。それはきっと私生活でもそうだと思うし。それにあの人なら、千夏を凄く優しく守ってくれると思うわ」


私の勘だけど、と由依は笑った。

そうなのかな…。
あまり、というか全く江崎課長のことは知らないけど、昨日初めてちゃんと話して怖いとかは思わなかった。

悪い印象も全く受けなかった。
何故この人が閻魔課長だなんて呼ばれているのか、不思議に思ったぐらいだ。