小坂はそのレポートを受け取ると、ようやく左手に持っていた単行本をページを開いたまま伏せ、机に置いた。 そして菜都の渡したレポートを無言のまま読み始めた。 その光景を菜都はニコニコしながら見つめていた。 自分の書いたモノに小坂が真剣に目を向けている。 それだけで、菜都は幸せを感じていた。