そんな時だった。
廊下を走る誰かの足音が
聞こえ、ドアの開く音が響く。
「ご、ごめん!!
俺の不注意で................っ
結城、天海、大丈夫か!?」
「全然大丈夫ですよ。
天海さんとも仲良くなれて
楽しい時間でしたし」
お、王子様スマイル!!
こんなに人間って
一瞬で性格を変えれるものなんだ。
「天海は?大丈夫か?」
「はい。全然大丈夫です」
本物の正人の言っていた
『ハゲ』はお詫びとして
アメをくれた。
こんなもので
許すなんて子供だとか思われるけど
正人と話せたきっかけを
作ってくれたわけで。
「ありがとうございました」
「へ?天海どうしたんだ?」
「いえ?何でもありません」
廊下で先生の後ろを歩く正人は
口パクで『ハゲ』と言って笑った。
閉じ込められて30分。
出られてほっとしたけど
残念に思う自分もいたんだ。