「新田智則、心の準備は大丈夫ですかぁ?」


「も、もももももももちろん」


僕たちは、僕が面接を受ける建物の前にいた。


三階建てのビルで、目的の企業はその二階にある。


「大丈夫じゃなさそうですぅ。こんなブサイクな人間が存在するなんて、信じられないですぅ」


「よ、よよ余計なお世話だ! そそそれより、それは何?」


僕はアカネの胸元を指差した。


相変わらずの黒い男物スーツに、なぜか双眼鏡を首からぶら下げている。


「あ、これですかぁ? これは念のためですぅ。それより……」


アカネが手で僕のあごを持ち上げた。


「もし緊張してうまく話せなくても、うつむかないで前を向いてくださいねぇ」