「……ん。」

曲が終わった後の束の間の静けさ。目を閉じたまま音色の余韻に浸る天音に天都は音を立てないように近づき………そっと触れるだけのキスを落とした。


「……天都」

「ん?」

「なんでもない」

「なんだよ」

「んー…じゃああたしの名前呼んで?」

「なんで?天音」

「天都…あたしのこと好きでしょ」

疑問というより断言してる言い方だった。


「……は、なわけないし」

「ふーん…」


戻ろっか、天音の呟きに無言で天都は頷く。

屋上から現実の世界に戻る狭間でそっと天都の耳元で囁く。



“ あたしは大好きだよ ”



残された天都が耳まで赤く染めていたのは言うまでもない。




天音の勝利。