あたしは重い足を必死で動かして、走り出す。


「マドカ!?」


手に持ったビニール袋がガサガサいう音も、後ろから友達が驚いたように自分の名前を呼ぶ声も、どうでもよかった。


早く。

早く行かなきゃ。


彼が飛び立ってしまわない内に。


走りにくいローファーを脱ぎ捨てて、昨夜の雨で緩くなった校庭の泥水が靴下に染み込むのも、校舎内の固い床がかかとの骨を打つのも気にせずに、あたしは懸命に走った。


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