何にも話さないで立っているわたしの方に一人の視線を感じて、その方向に目を向けると……。
―ーぱちっ
わたしを見ていたのは心配そうな表情を浮かべた山内くんだった。
こんな何もできない惨めなわたしを見ないでほしい。
わたしは優奈に何も言わずに、歩いてきた道の方へ振り返って走り出した。
「ちょっと茉優!どうしたの?」
という優奈の言葉が後ろから聞こえてきたけど、その言葉にも反応しなかった。
「お、おい!お前までどこに行くんだよ!」
走って、走って。どこかに向かって走っていく目的なんてないけどそれでもとにかくあの場にはいたくなかった。
でも走っているうちに自分じゃない足音が聞こえてくるのが分かったんだ。

