マウンドのプリンス*青空の下、ふたりでずっと*





コートの中で詩乃がどんどん暗くなっていく姿をベンチで見ていて、“わたしが試合に出て流れを変えたい”って思って先生に試合に出たいって頼もうとした。




両手をぎゅっと握って、先生の方に行こうと足を向けた。



でも、どんなに力を足に入れてもそれ以上動けない……。



なぜならもう1人のわたしがそれを止めているから。



“わたしが本当のスタメンだとしても



何週間もケガでできなかった自分が試合に入って本当に変えることができるの?”



“これで癖がついて、手術することになってもっと復帰が遅くなってもいいの?”



そう強く問いかけてくるもう1人の自分にどうしても歯向かえる言葉が見つからず、わたしは結局その場から動くことができず



ただただコートの中にいる6人を見守ることしかできなかった。



――ピ――――ッ



気付くとフルセットの末、わたしは周りからのすすり鳴く声を聞きながらネット越しに相手チームの選手と握手を交わしていた。