ガルガルと凶暴な野良犬の如く八雲君を睨みつけていると、そう言われる。


「バレてないわよ……栞も今日彼氏とデートだし、あっちはお花撒き散らしてルンルン気分で出かけて行ったわ」


先に家を出た時、『じゃあね~~♪』と幸せそうに消えて行った姉の姿を思い出しつつ、すでに疲れきった声で返した。


八雲君には『オレとのやり取りは他言無用』って言われてるから、栞も睦杜も今日私が八雲君と出かける事は知らない。


何も知らないでハッピッピーなしおりんが、うらやましかったぜ!!クゥゥゥ!!


「んじゃあそろそろ時間だし、行くか」