角屋の裏方の仕事を全て終えて数日後。

再び屯所での生活がやってきました。

「蒼蝶ァ、羽織が破れちまいやした。縫ってくれやせんか?」

「天宮、俺の部屋に茶を持ってこい」

「久しぶりに天宮さんが作ったみたらし団子が食べたいな」

「はいはいはい!少々お待ちを!」

屯所のあちこちから休む間もなく私を呼ぶ声がします。

これじゃ裏方をしていた時と一緒じゃないですかぁ!

私は隊士であって皆さんの世話係じゃないんですよ!

……って。そう文句を言いたくても、口より先に体が勝手に動いてしまいます……。

この時代に来てから雑用係が身に染みついている気がしますよ。

はぁ、と小さく溜息を吐きながら組長にみたらし団子を作っていると、斎藤さんが勝手場にやってきました。

「天宮」

「どうかしましたか?」

「山南さんが帰ってきた。……それでアンタを呼んでいる」

斎藤さんの言葉にピシッと固まり、持っていたおたまをカランと落とす。

とうとう……とうとう山南さんが帰って来た。

師匠、私、天宮蒼蝶は人生最大級の窮地に立たされています。