「できました!」

「ありがと。さっそく着替える」

「じゃあ、私も着替えます」

屏風を挟んで互いに背を向けながら着替える。最初の頃は屏風を挟んだ背中合わせでの着替えに緊張していましたが、今ではすっかり慣れました。

髪も三つ編みに結い終わって後ろを振り返れば、龍馬さんは見慣れた格好になっていました。

やっぱり龍馬さんはいつもの格好がよく似合っています。

「さて、そろそろ裏方の仕事にいきますね。今夜、私も長州藩邸まで一緒に行きますので、先に行かないでくださいよ」

「……おまえも来るのか」

「もちろんです。岡田さんにはすでに許可をもらっています」

私がいてくれたら心強いと言って快く承諾してくださいました。

でも龍馬さんは不機嫌そうに眉を寄せています。

「危険かもしれねえんだぞ」

「私、言いましたよね。頼るなら最後まで頼ってくださいって」

「そうだけど、好きな女を危険な目に会わせたい訳ねえだろ」

龍馬さんの言葉に胸が微かに高鳴る。心配してくれるのは嬉しいけど、私だって龍馬さんに危険な目に会って欲しくない。

その危険から守ってあげたいんです。

「心配してくれてありがとうございます。でも、私が決めたことですから」

「……分かった。でも、これだけは約束してくれ。危なくなったらすぐに逃げろ」

逃げたら龍馬さんを守れないじゃないですか。って言いたいけど、私は「はい」と言いました。

「じゃあ、いってきます」

「ああ」

龍馬さんに見送られ、私は部屋の戸を開け裏方の仕事に向かいました。