だったらさっきのは私の勘違いで、それよりも龍馬さんは私のことを可愛いって……。

あああっ!恥ずかしいけど、どっちで恥ずかしいかわかりません!

恥ずかしさのあまり、両手で顔を隠している間も、龍馬さんはクスクスと笑っていました。

しばらくして私の上から退くと再び窓辺まで行き、そこに腰を下ろしました。

「本当、蒼蝶は面白いな。このやり取りが今日までだって思うと残念だ」

「あっ……」

そっか。龍馬さん、今夜岡田さんと一緒に長州藩邸に帰るんだ。

龍馬さんとこの部屋で過ごすのも終わりか。そして私の裏方の仕事ももうすぐ終わる。

裏方の生活は大変だったけど、忘れられない思い出になりそうです。

「そうだ。まだ時間がある内に」

小さな箪笥の引き出しから裁縫箱と着物を取り出しました。

「あっ、俺の着物」

「はい。血が染み込んでてなかなか落ちなかったんですけど、ようやく綺麗になったんです。後は切れた部分を縫うだけなので、もう少し待っててください」

「本当、何から何まですまねえな」

「いえ、気にしないでください」

裁縫箱から針と糸を取り出して、切れた部分をチクチク縫っていきます。

針を指に刺さないように慎重に縫ったので、少し時間は掛かりましたが無傷で綺麗に縫うことができました。

ふっふっふ、私の裁縫のスキルが上がってますね。