龍馬さんは笑みを深めると指で私の唇を撫でました。

「裏方の仕事までまだ時間があるじゃろ?お望みならシテやるが、どうする?」

一瞬、思考停止してしまいましたが言葉の意味を理解した瞬間、心臓が暴れ馬の如くバクバクと暴れだしました。

「そっ、そんな冗談……!」

「いや、結構本気だけど」

何ですと!?

でっ、でも朝から……じゃなくて!私は龍馬さんの気持ちに応えられない訳で。

「あっ、あの、その……」

視線をウロウロとさせていると、龍馬さんはクッと笑いました。そして口元を押えて込み上げる笑いを堪えているように見えます。

……っということは。

「あ~、やっぱりからかってたんですね!」

「ごめんって、面白くてつい」

「むぅ~……」

下から少しムッとしながら睨みますが、龍馬さんはクスクスと笑うだけです。

私、怒ってるんですよ!少しは反省してください!

「本当、おまん可愛いにゃー」

「にゃー?」

猫の鳴き真似ですか?

「くっ……、そんな可愛い鳴き真似しても許しませんよ!」

「は?何言ってんだ?」

「え?さっきのにゃーって猫の鳴き真似じゃないんですか?」

「違う。土佐の方言だ。本当、おまえ可愛いねって言ったんだ」

はい?