「それで、龍馬。そろそろウチの話は止めてその怪我の経緯を教えてくれへん?」
「ああ、そうだな」
ぽつりぽつりと怪我の経緯を話した。
話をしている間、別れて逃げた稔麿たちの安否が気になってくる。
あいつらが簡単に死ぬとは思えないが、やはり心配だ。
そんな俺の心情を察してか、蒼蝶は俺の手を軽く握ってくれた。
全てを話し終えると以蔵が立ち上がった。
「そないな事情があるなら、しばらく藩邸には戻れんな。
龍馬、しばらくこの部屋にいたらええ。ここの人には話をしとくで」
「すまねえな」
以蔵はニコッと笑うと部屋から出て行った。
部屋には俺と蒼蝶、二人だけになる。
「心配……掛けたな。ごめん……」
と、呟くように言うと蒼蝶は少し微笑んで首を横に振った。
「とにかく無事で本当によかったです。医者が言うには、あと少し横に斬られていたら大きな血管が切れて助からなかったと言ってました」
「運がよかったんだな」
「そうですね」
二人の間に沈黙が流れるけど、その沈黙は俺が破った。
「……やっぱり今ここを出ていく」
「でも……」
「俺がここにいたらおまえと角屋に迷惑が掛かる」
そう言うと、蒼蝶は眉を寄せた。
「龍馬さんは私と岡田さんを頼って、ここに来たんじゃないですか?頼るなら最後まで頼ってください」


