「岡田以蔵って、人斬り以蔵ですか?」
「知ってんのか?」
「はい」
蒼蝶がコクンと頷く。
そう言えば蒼蝶は未来から来たんだったな。未来では以蔵の名が残ってんのか。
「蒼蝶ちゃんに人斬りって知られてるとはな。……ああ、そうか。蒼蝶ちゃん、未来から来たんやったな」
は?
「蒼蝶、以蔵に未来から来たことを話したのか」
「ええ、はい。どうしても話さなければいけない状況になってしまったので」
「ふ~ん……」
話さないといけない状況になったのはしょうがねえけど、俺と蒼蝶だけの秘密が無くなってなんとなく寂しい気がする。
……いい年した男が餓鬼みてだな。
自分の中にある幼稚な部分が見えて胸の辺りがムカムカした。
「あの、そう言えば岡田さん。未来では貴方はまだ捕まっている筈なんです。どうして角屋で太夫をやっているんですか?」
「ああ、まぁ、色々あの手この手を使ったんよ。牢獄から出るために人に言えんこと沢山したな」
以蔵は懐かしそうに笑った。
「なぜ、そこまでして牢獄から出たんですか?……やっぱり酷いことされたからですよね」
「ん~、まぁな。でも、一番の理由は武市先生や」
「武市さんですか?」


