私の師匠は沖田総司です【上】


「岡田以蔵って、人斬り以蔵ですか?」

「知ってんのか?」

「はい」

蒼蝶がコクンと頷く。

そう言えば蒼蝶は未来から来たんだったな。未来では以蔵の名が残ってんのか。

「蒼蝶ちゃんに人斬りって知られてるとはな。……ああ、そうか。蒼蝶ちゃん、未来から来たんやったな」

は?

「蒼蝶、以蔵に未来から来たことを話したのか」

「ええ、はい。どうしても話さなければいけない状況になってしまったので」

「ふ~ん……」

話さないといけない状況になったのはしょうがねえけど、俺と蒼蝶だけの秘密が無くなってなんとなく寂しい気がする。

……いい年した男が餓鬼みてだな。

自分の中にある幼稚な部分が見えて胸の辺りがムカムカした。

「あの、そう言えば岡田さん。未来では貴方はまだ捕まっている筈なんです。どうして角屋で太夫をやっているんですか?」

「ああ、まぁ、色々あの手この手を使ったんよ。牢獄から出るために人に言えんこと沢山したな」

以蔵は懐かしそうに笑った。

「なぜ、そこまでして牢獄から出たんですか?……やっぱり酷いことされたからですよね」

「ん~、まぁな。でも、一番の理由は武市先生や」

「武市さんですか?」