そして夜。

「はぁ」

今日の全ての仕事を終えた私は部屋に戻り、窓から外を眺めていました。

結局、龍馬さんは今夜も来てくれませんでした。

やっぱり仕事が忙しいのでしょうか。

「ん?」

外が騒がしいことに気付いた私は、窓から身を乗り出すように外を見ました。

道を歩く人が同じ方向に走って行きます。

何があったんだろう。

気になった私は羽織を羽織って外に出ました。

そして近くにいた人に声を掛けます。

「あの、何かあったんですか?」

「島原の入口の門前に人が倒れてるやって」

人が倒れてる?

それ、一大事じゃないですか!

私はすぐに走り出しました。すぐに門が見えてきて人が沢山集まっている。

「すみません、ちょっと、通して」

人だかりを掻き分けて進みました。苦労して抜け出し、すぐに視界に映った光景に息を飲んだ。

「龍馬さん!」

倒れていたのは腕から血を流した龍馬さんでした。

どうして、こんな……龍馬さん生きてるよね。まさか死……。

頭に浮かんだいやな考えを振り払うと、地面に膝をついて、少しだけ龍馬さんの体を揺すった。

「龍馬さん、龍馬さん!しっかりしてください!」

血の気が無くて真っ青な顔に冷たい肌。

いくら呼びかけても龍馬さんは目を覚まさない。