それから数日間、私たちは徳川家茂の警護を終えました。
警護中は何も事件は起きず、ずっと暇を持て余していた程です。
明日には大阪の町を出て、屯所に帰ることになっていました。
「天宮君、どうかしましたか?」
「いえ、何でもありません」
警護場所から旅籠へと戻る道を歩いていると、山南さんが考え込む私を心配そうに見つめていました。
岩城升事件はまだ起きていません。
だから山南さんもまだ腕に怪我をしていませんでした。
このまま何も起きずに明日になって欲しい。
私は歩きながら、何度も願っていました。
しかし。
「山南さん」
「ええ」
隣を歩いていた土方さんと山南さんが足を止める。
二人の視線の先には呉服屋がありました。
まさか……。
突然、襲い掛かったいやな予感。
身体に冷水が掛けられたように、背筋がスッと冷えた。
「あの店に男が数人、入っていきましたね」
二人が腰に差した刀の柄に手を置いた瞬間、店から争うような音が聞こえた。
この瞬間、私は直感した。
岩城升事件が起きたのだと。
警護中は何も事件は起きず、ずっと暇を持て余していた程です。
明日には大阪の町を出て、屯所に帰ることになっていました。
「天宮君、どうかしましたか?」
「いえ、何でもありません」
警護場所から旅籠へと戻る道を歩いていると、山南さんが考え込む私を心配そうに見つめていました。
岩城升事件はまだ起きていません。
だから山南さんもまだ腕に怪我をしていませんでした。
このまま何も起きずに明日になって欲しい。
私は歩きながら、何度も願っていました。
しかし。
「山南さん」
「ええ」
隣を歩いていた土方さんと山南さんが足を止める。
二人の視線の先には呉服屋がありました。
まさか……。
突然、襲い掛かったいやな予感。
身体に冷水が掛けられたように、背筋がスッと冷えた。
「あの店に男が数人、入っていきましたね」
二人が腰に差した刀の柄に手を置いた瞬間、店から争うような音が聞こえた。
この瞬間、私は直感した。
岩城升事件が起きたのだと。


