「私と龍馬さんは友達ですよ。それ以上でも、それ以下でもありません」

「それをどうやって信じろと」

「……分かりません。でも、私は龍馬さんに、新選組内の情報は一切話していません。

信じられないと思いますが、これは本当です」

部屋に静寂が流れる。

それを破ったのは近藤さんでした。

「よしっ、天宮君の言葉を信じよう」

近藤さんの発言に、部屋の中が一瞬ざわつきました。

「おい、近藤さん!!何言ってんだよ!」

「私には、どうも彼女は、嘘を言っているようには見えないんだ。

それに今まで、彼女はイヤな顔を一つせず、冷たい水仕事をやったり、我々の体に良い食事を考えて作ってくれただろ?

新選組の紅一点で大変な筈なのに、天宮君は新選組を支えてくれていた。

そんな彼女だから私は信頼できるんだ」

近藤さんの優しい言葉が、心に染みる。

私を信頼に値する人物だと、思ってくれていることが、嬉しくて堪らなかった。

「土方君。心配なら天宮君をしばらくの間、私たちで見張ったらどうですか?

それで、彼女が何もしなければ、間者の疑いを晴らしてください」

山南さんの提案に、土方さんの顔が渋りました。

でも最後は諦めたように、ため息をつきました。

「……分かった。天宮、しばらくおまえは俺たちの監視下に置く。それで何もなければ、間者の件は不問にしてやる。それでいいか」

「はい」