私の師匠は沖田総司です【上】

「いやな、お二人が仲良さそうに手を繋いどるから、ウチてっきり恋仲だと」

なるほど。確かに手を繋いでいたら、勘違いをしますね。

「手を繋いでいるのは、ちょっと深い事情がありまして……」

曖昧に言うと、艶子さんは興味深そうに、繋がれた手を見ます。

じっくり見られると、何だか恥ずかしいですね。

「初対面で、変なこと聞いてごめんな。ウチ、気になったことは、すぐに知りたい性分なんよ」

「いえ、お気になさらないで下さい」

「ほんまごめんな。あっ、そういえば、甘味を食べに来てくれたんやったな。

今、お客様はおらへんから、好きな所に座ってええよ。お品書きは机の上にあるで、決まったら呼んでくだはい」

「はい」

艶子さんは軽くお辞儀をすると、店の奥に下がりました。

私と組長は、手近な席に、向かい会うように座ります。

「……あの、組長。どうかしましたか?」

組長がさっきから眉を寄せて、不機嫌そうな顔をしているのです。

「私、組長の気に障るようなことをしましたか?」

「別に」

「怒って……ません?」

「怒ってないし」

そう言って、組長は少し頬を膨らませて、そっぽを向きます。

絶対怒ってますね。

組長、分かりやすいにも程がありますよ。