私の師匠は沖田総司です【上】

おかげで、息も切らさずに、甘味屋にたどり着くことができました。

組長が濃い青色の暖簾を潜ると、すぐに組長と同じくらいの年齢の女性が、店の奥から出て来ました。

「あら、沖田はんやないの。久しぶりやね」

「久しぶり。艶子(ツヤコ)さん」

この方は艶子さんと言うのか。

名前の通り、肌や唇がツヤツヤしています。

かなりの美人ですね。

大和撫子と言う言葉を、そのまま体現したような人です。

「そちらの娘さんは?」

艶子さんが私を見ます。私は頭を下げました。

「私は天宮蒼蝶といいます」

「天宮さんは、僕と同じ所で働いてるんだ」

「へぇ……、そうなん」

艶子さんが私と組長を交互に見比べます。

そして組長に目を向けると

「お二人は恋仲なん?」

と言いました。

そしたら組長が少し顔を赤らめ「え~と、その……」と歯切れが悪そうに言います。

なぜ、一言違うと、言わないのでしょう。

もしかして、私に気遣っているのでしょうか?

「艶子さん、私と組長は恋仲ではありませんよ」

「そうなん?」

もちろんです。私ごとき小娘が、組長の恋人なんて恐れ多い。

組長は艶子さんのような、綺麗な人がお似合いですよ。

「はい。組長そうですよね?」

組長に同意を求めると、組長はどこか悲しそうな顔をして、小さく頷きました。