私の師匠は沖田総司です【上】

「……髪型いつもと違うね」

「あっ、はい」

今、私の髪はいつもの流し三編みではなく、おだんごに結われています。

そして、私には勿体ない程、綺麗な簪が刺されています。

私の背後で、山崎さんがため息をつきました。

「総ちゃんって以外とヘタレなんやな。もっと別に言うことあるやろ」

「う、うるさいな!!ほら、天宮さん早く行くよ!」

「あっ、ちょっと待って下さい、組長!あの、山崎さん。着物、ありがとうございました」

「ええで、楽しんできいや」

手を振ってくれる山崎さんに頭を下げてから、ドスドスと大股で歩く組長を追いかけました。

でも、なかなか追いつくことができません。

うぅぅ……。やっぱり、歩幅を制限される女物の着物は、動きにくいです。

小走りで追いかけ、追いついたのは、屯所から出て少ししてからでした。

ゼェーゼェー息を切らしながら、組長の袖を掴むと、組長はやっと足を止めてくれました。

「あっ、ごめん天宮さん!早く歩きすぎた!大丈夫!?」

「なんとか……。それよりも組長、大切なことを、忘れていませんか?」

私は組長に向かって、右手を差し出す。

「外出の時、私の手を離しては、いけないんですよね」

「……そうだったね」

組長が私の手を握る。組長の手は大きくて、少しゴツゴツしています。

でも、肌は女の人のように滑らです。

組長の手は、師匠と同じ感触がする。

……師匠と手を繋いでいるみたいで、なんだか懐かしい感じがしました。