私の師匠は沖田総司です【上】

気分が落ち着いて来ると龍馬さんが「大丈夫か?」と言って回していた腕を離した。

私は返事をして着物の袖で残った涙を拭きました。

「私、龍馬さんの前で泣いてばかりですね」

「そうだな。でも、いいよ別に」

龍馬さんは微笑むと、背が低い私と同じ高さの目線になるように屈み、袖で残った涙を拭いてくれました。

自分で拭うよりも、龍馬さんに拭ってもらったら心が温かくなって、涙が自然と止まりました。

「それで、おまえが新選組っていうのは本当なんだな」

龍馬さんの言葉にビクッと体が震えるけど、私はコクッと頷く。

すると龍馬さんの目が悲しそうに逸らされた。

「じゃあ、晋作の仲間を斬ったって言うのは本当なのか?」

「それは……ごめんなさい。私にもよく分からないんです」

「分からない?」

「あの時、覚えてないって言ったのは本当なんです。今日、初めて高杉さんを見ました。

でも、私の記憶には抜け落ちた部分があるから、もしかしたら……」

私は高杉さんの仲間を斬ったかもしれない。

そう思った途端、また体の奥から不安や恐怖が現れた。

それらを堪えるように、胸の辺りで両手を重ねるようにして握りしめていると、龍馬さんの大きな手が頭に置かれた。

大きな手は労わるように、そっと私の頭を撫でました。