私の師匠は沖田総司です【上】

龍馬さんは冷静に見えて、意外と感情的に動く部分がある。

今日の行動でそれが分かった。

また私のせいで感情的に動かれたら、龍馬さんが危ない目に会うかもしれない。

そんなのは絶対にいやだ。

だから私はずっと黙っておきたかったことを彼に言う。

もしかしたら嫌われるかもしれないけど、それで龍馬さんの危険が減るなら安いものだ。

「私、龍馬さんにずっと隠していたことがあるんです」

「何だ」

私は冷たい空気を小さく吸い込む。そして手をギュッと握りしめた。

「私が今いる場所は新選組なんです。私は、新選組1番隊隊士天宮蒼蝶。開国を目指す龍馬さんとは敵……なんです」

この時、胸が張り裂けるかと思った。

視界が滲むけど歯を喰いしばって堪える。

龍馬さんは何も言わなかった。重苦しい沈黙が生まれ身動きが取れない。

「蒼蝶」

龍馬さんの掠れた低い声がした。

「前、川原で言ったよな。俺の目指す武力が制さない国を望んでるって。あの言葉は嘘だったのか?……いや、それだけじゃない。今までの言葉は全部嘘か?」

嘘じゃない。今まで言葉は全部本心からの言葉だ。